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ぜんぶ嘘なので気にしないでください。

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2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「魂」「なに?」 ストアは持っていた本を持ち上げて、キスの顔を見る。機嫌がいいのか、今日は青いドーランが顔中にまぶされている。「魂はどこへゆくと思う」「僕は忙しいので、そこのクマに話しかけていただけますか?」 キスはクマを持ち上げて、同じ質…

なめらかな曲線を描く書棚は、よくよく油のしみこんだ銘木イルゼナ材をまぶしい夕陽に光沢させていた。ところどころに掛けられている脚立は、細影をあしたか鶴のように伸ばしている。奥には巨大な窓でもあるのか、黄色の光が飛び込んでいた。ストアは目を細…

啓太くんがサイコロをぐしゃりと掴んだ。 じゃらじゃらと手のひらの中でしばらく転がした後、いっせいに宙へ放り出す。 ――賽は投げられた。 五つほどのサイコロが、好き好きに転がりながら、それぞれのタイミングでカタンと音を立てて停止する。面が揃ったと…

四幕第一章 - 1 -

一切の仔細を捨て置いて、分析士・キス・ディオールその人が音信を不通とし行方を完全に暗ましてから、既に三ヶ月が経とうとしていた。「本当にあの人は勝手だ」 思いがけず宙に放られたその言葉は、自分で思うよりも大きくなって響く。このままあの人にも聞…

「だれとでもどっぷり仲良くなる必要なんてありません」「君にはどっぷり愛する相手がもういるから、ということかな?」「いいえ。僕だけの話ではなくて、誰にもいつでもどこででも、誰とでも仲良くなる必要なんてないのです。そんなふうに思う」「そうか、…

愛してもらえるたびに、この愛はいつまで続くのだろうと思う。そんな乙女の心情にも似た自意識をかかえて、もう一年になる。 まいにちあなたが星を贈ってくださるのがありがたいのに、ログインするたびに安心するのに、なにか新しいものを出さなくてはと思い…

それは君が女だからだ、だから君は何かそういった幻想にすがりつきたいと思うのだ、とあなたは言うから、わたしは圧倒的な不理解をさびしがった。 理解してもらえないことほど悲しいことはなくて、そしてこれ以上にどうしようもないこともない。愛してもらえ…